

法人の決算期は設立時に定めますが、後で変更することが可能だということはご存知でしたか??
今回は「決算期の変更」についてご紹介いたします。
いつにすればいい?決算期の決め方のポイント。
法人を設立する際、定款に決算期を定めます。
決算とは、決められた会計期間(通常は1年間)の収益、費用、資産、負債を集計し、業績や財務の状況を確定することです。
この決められた会計期間の最終月を、決算期または決算月といいます。
法人の場合は、自由に決算期を設定することが出来ます。
会社の特徴に合わせた決算期を設定することで、会社にとってプラスとなることがあります。そこで、決算期を決めるためのポイントをいくつかご紹介いたします。
・設立時には1期目の期間をできるだけ長くする。
新しく法人を設立する場合、法人設立日から1年を超えない範囲で出来るだけ長い期間で決算期を区切ることが考えられます。
決算では会計帳簿の締め、法人税等の申告・納税手続きなど事務作業が発生しますので、決算期を先にすることで、決算業務に係る手間やコストを減らすことが出来ます。
・会社の繁忙期を避ける。
決算期前後は決算申告や株主総会の準備など、通常業務に加えて作業が増えるため、繁忙期に決算期を設定すると、負担が大きくなってしまいます。ミスにも繋がりかねません。
また、繁忙期は業績が変動しやすい時期とも考えられますので、予想外の利益や損失が出てしまう可能性も高くなります。
・売上の多い月を期首に設定する。
決算直前に大きな利益が出ると、節税対策のための時間が十分に確保出来ないため、期首に売上が多くなるように決算月を設定することが考えられます。
決算まで時間があるので、その間にしっかり節税対策を行うことが出来ます。
・手元に資金が潤沢にある時期に納税となるよう設定する。
決算期から2か月後の月末が、法人税等の納付期限となります。
手元に現預金が十分にある時期を決算期としておくと、資金繰りの不安を抑えることが出来ます。
上記に挙げた点以外にも、国や公共機関との取引がある場合には、これらの決算期に合わせて3月決算に、海外に対する売上が多い会社の場合には、欧米諸国の基準に合わせて12月決算とすることなども考えられます。
決算期を変更するメリット・デメリット
決算期は何度でも変更することが可能ですが、決算期変更には様々なメリットとデメリットが発生します。以下では主なメリット・デメリットをご説明いたします。
決算期を変更するメリット
①節税対策、経営戦略が立てやすくなる。
前述の通り、売上の多い月を期首に設定することで、節税対策にしっかりと時間をかけることが出来ます。
また、年間の売上予測が立てやすくなり、経営戦略を考える上でも役に立ちます。
②利益の繰り延べが出来る。
期中に大きな利益が出ることが判明した場合、決算期を短縮し利益が計上される前に決算を締めることで、翌期に利益を繰り延べることが出来ます。
③役員報酬の改定が可能になる。
役員報酬の改定が出来るのは、原則として期首から3か月以内とされています。
決められた改定時期を待たずに役員報酬を増減させたい場合、決算期を変更することで、改定が可能になります。
決算期を変更するデメリット
①決算期の変更手続きの手間が発生する。
決算期を変更するには会社法の定めに従った手続きを行い、税務上の届出等を行う必要があります。これについては後述します。
②決算業務の負担が増す。
税務上、事業年度は1年を超えることが出来ず、決算期を変更した期は事業年度が1年未満となります。そのため、通常は1年に1回で済むはずの決算業務が1年以内に発生し、手間のかかる申告や納税手続きをしなければなりません。
③前期比較が難しくなる。
前述の通り、決算期を変更した年度は1年未満となるため、変更した期とその翌期については数字の比較が難しくなります。
④消費税の免税期間が短くなる。
法人設立後1期目もしくは2期目で消費税が免税となっている法人の場合、決算期の変更により事業年度が短くなった分、免税の期間も短くなるケースがあります。
決算期変更の手続きについて
決算期の変更については、登記の必要はありませんが、会社法や税法に基づく手続きが必要です。ここでは実際に決算期を変更する際の手続きをご説明いたします。
①株主総会を開催する。
一般的に、事業年度(決算期)は定款で定められています。
定款の変更には、株主総会の特別決議が必要です。
そのため、株主総会を開催し、定款を変更するための決議を行います。株主総会の議事録も作成しておきましょう。
②定款を変更する。
株主総会の決議後、定款の内容を変更します。
定款については、新しく作成するほか、元の定款に今回の議事録とあわせて保管しておく形でもかまいません。
事業年度は登記事項ではありませんので、法務局での登記は不要です。
③税務署等へ異動届出書を提出する。
事業年度を変更した場合、税務署・都道府県税事務所・市役所等へ「異動届出書」の提出が必要です。提出の際の主な留意事項は下記の通りです。
・「税務署」
異動後速やかに提出しましょう。添付書類は不要です(変更後の定款の写しや株主総会議事録が求められる場合もあります。)
・「都道府県税事務所、市役所等」
提出期限については「変更の日から10日以内に」、「出来るだけ速やかに」など自治体によって様々な表記となっていますが、税務署と同様に変更後は速やかに提出しましょう。
変更後の定款の写しまたは株主総会の議事録の添付が必要です。




決算期の変更は、計画的に行いましょう。
今回は「決算期の変更」についてご紹介いたしました。
多少手間はかかりますが、現在の決算期が会社の実態にそぐわないようであれば、変更を検討してみてはいかがでしょうか。
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東京税理士会(登録番号:112259)
監査法人トーマツに入社し会計監査及び株式公開支援業務に従事。その後、野村證券株式会社において資金調達やM&Aに関する財務戦略の提案業務を手掛け、また、ベアー・スターンズ証券東京支店では不動産融資及び証券化業務に携わる。
2008年に独立し、マクシブ総合会計事務所及びマクシブ・アドバイザーズ株式会社を立ち上げ代表に就任。