こんにちは、マクシブ総合会計事務所です。




2021年もとうとう折り返しになりました。
マクシブのブログも始めてそろそろ2年となり、毎日多くの方がご覧くださっていること、大変嬉しく思います。


今回は、税務上の貸倒損失(回収が見込まれない債権)の取り扱いをご紹介します。
昨年からの新型コロナウィルスの影響により、倒産や休業などに追い込まれた会社が少なからずあります。
お取引先様でそういった事象があった場合の売掛金等の処理について、ご参考になれば幸いです。
貸倒損失とは?
貸倒損失の、税務上の回収見込みの有無の判断基準とは?
「そもそも回収見込みがあるかどうかの判断はどのようにするのか?」「勝手に判断して良いものなのか?」との疑問があるかと思います。
税務における回収見込みの判断基準については、以下の3パターンで判断ができます。それぞれ確認していきましょう。
① 金銭債権の全部又は一部の切り捨てをした場合の貸倒れ(法人税法基本通達9-6-1)
「法律上の貸倒れ」と言われる要件です。
こちらに該当する場合は、その事実が発生した日の属する事業年度において貸倒れとして損金算入します。
・更生計画認可
・再生計画認可
・特別清算に係る協定の認可
・債権者集会での協議決定
・行政機関又は金融機関による協議決定
・債務者に対し書面により明らかにされた債務免除額
上記による決定もしくは書面による通知によって、切り捨てられることとなった金額について、貸倒損失として処理します。
② 回収不能の金銭債権の貸倒れ(法人税法基本通達9-6-2)
「事実上の貸倒れ」と言われる要件です。
債務者の資産状況や支払能力を鑑みて、全額が回収できないことが明らかになった場合は、その明らかとなった事業年度において貸倒損失として損金算入が可能です。
なお、当該金銭債権について担保物などがある場合には、その担保物を処分してからでないと処理できない点に注意が必要です。
③ 一定期間取引停止後弁済がない場合等の売掛債権の貸倒れ(法人税法基本通達9-6-3)
「形式上の貸倒れ」といわれる要件です。
・債務者との取引を停止した時(最後の弁済期又は最後の弁済の時が当該停止をした時以後である場合には、これらのうち最も遅い時)以後1年以上経過した場合(当該売掛債権について担保物がある場合を除く。)
・法人が同一地域の債務者について有する当該売掛債権の総額が、その取り立ての為に要する旅費その他の費用に満たない場合において、支払を督促したにもかかわらず弁済がないとき
上記に当てはまる場合、売掛債権から備忘価額を控除した金額を貸倒損失として処理することが可能です。
なお、③のパターンは売掛債権(売掛金や未収金)にのみ適用され、貸付金等には適用されませんので、ご注意ください。
貸倒損失のパターン別会計処理
上記で紹介した判断基準別で、会計処理方法をご紹介します。
一緒に確認していきましょう。
① 金銭債権の全部又は一部の切り捨てをした場合の貸倒れ(法人税法基本通達9-6-1)
例)取引先が倒産し破産手続開始の決定の通知が来たため、売掛金300万円を破産更生債権へ振り替えた。
破産更生債権 3,000,000円/売掛金 3,000,000円
貸倒引当金繰入 1,500,000円/貸倒引当金 1,500,000円
※破産手続き開始の申し立てが通知された場合、個別評価金銭債権に対する貸倒引当金の計上が可能です。
法人税申告書(別表11(1))への記載及び提出を忘れないようにしましょう。
例)その後再生計画認可の決定により、売掛金のうち60%の切り捨てが決定された。
未収入金 1,200,000円/破産更生債権 3,000,000円
貸倒引当金 1,500,000円/
貸倒損失 300,000円/
例)回収見込みのない債務者に対し、売掛金100,000円について内容証明郵便で債務免除を通知した。
貸倒損失 100,000円/売掛金 100,000円
② 回収不能の金銭債権の貸倒れ(法人税法基本通達9-6-2)
例)取引先の倒産により売掛金100万円が回収不能となった。なお、担保として預り保証金が50万円あり相殺した。
貸倒損失 500,000円/売掛金 1,000,000円
預り保証金 500,000円/
③ 一定期間取引停止後弁済がない場合等の貸倒れ(法人税法基本通達9-6-3)
例)取引先に対して支払の督促を幾度となくおこなったが、直近の入金から1年が経過した。
貸倒損失 499,999円/売掛金 499,999円
※備忘価額1円を残す
貸倒損失を理解して、処理や仕訳も正確に!
以上、貸倒損失の取り扱いについて、如何でしたでしょうか。
損金算入する時期など、意外と細かい規定があるため、都度確認したいところですね。
とはいうものの、このような税務的な判断や処理に関しては、正確に進めることはなかなか難しいかと思います。
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【監修】税理士:金子 太妥志