こんにちは。マクシブ総合会計事務所です。




今回は「通勤手当に係る所得税の取扱い」についてご説明していきます。ぜひ参考にしてみてください。
通勤手当とは?
通勤手当とは、従業員の通勤に係る費用を補填するため、企業の福利厚生の一環として支給される手当です。世間では多くの会社が支給している手当の一つですが、支給額、通勤手段や距離によって所得税の取り扱いが変わります。
通勤手当の支給は、人材の確保や従業員のモチベーション向上につながるため、所得税の仕組みをしっかり理解しておきましょう。
通勤手当の支給にあたり、知っておくべきこと
通勤手当を支給するにあたり、知っておくべきことと注意点があるので、この項で説明していきます。
・支給は会社の義務なのか
通勤手当の支給は法律で定められた義務ではありませんので、従業員の自己負担とすることも可能です。
ただし、支給条件を就業規則等で定めた場合は、支払い義務が発生するため注意が必要です。
・就業規則の作成
通勤手当の支給にあたり、就業規則で支給のルールについて定めておく必要があります。
賃金に関する規定は絶対的記載事項であるため、必ず記載する必要があります(労働基準法第89条にて規定)。
また、その経路についても規定しておくことで、労働者とのトラブルを未然に防ぐことが可能です。


参照:モデル就業規則について |厚生労働省 (mhlw.go.jp)
また、賃金として規定した場合、現金以外の支給は不可能なので注意しましょう。
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労動基準法24条第1項
賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。
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通勤方法と非課税限度額
従業員へ支給する手当は自由に設定することが可能ですが、通勤手当については、一定額を超えると従業員の給料として所得税の課税対象になるため注意が必要です。
また、通勤方法や距離によってもそれぞれ規定が設けられています。以下、所得税の課税対象か否かの観点からご説明いたします。
・交通機関を利用している場合
1か月当たりの合理的な運賃等の額はすべて非課税となります。(最高限度 150,000円)
参照:No.2582 電車・バス通勤者の通勤手当|国税庁 (nta.go.jp)
グリーン車の場合
グリーン車の利用は通勤手当の対象とならず、給与として課税されます。
グリーン車でも普通車でも到着時刻が変わるわけではないため、当然と言えます。
参照:所得税法施行令 第167条の3 給与所得者の特定支出の範囲 | 法令集 (zeiken.co.jp)
新幹線の場合
新幹線の通勤は非課税となります。(所得税基本通達9-6の3)
ただし、通勤手当と認められるのは「最も経済的かつ合理的な経路及び方法」であるため、距離や速度から考えて合理的でないものは所得税の課税対象となります。
・車(自転車)通勤の場合
非課税となる通勤手当の額は片道の通勤距離によって異なります。
以下はマイカーなどで通勤している人の非課税となる1か月当たりの限度額の表です。
限度額を超えて支給する場合、超過した金額は課税対象となるので注意が必要です。


参照:No.2585 マイカー・自転車通勤者の通勤手当|国税庁 (nta.go.jp)
また、車通勤で有料道路を使用する場合、所得税の非課税限度額は、通勤距離に応じた限度額に有料道路通行料を加えた額となります。
なお、有料道路が通勤手当と認められるのは「最も経済的かつ合理的な経路及び方法」である場合に限ります。
通勤手当の支給にあたってのよくある疑問
次に、通勤手当を支給するにあたってよくある疑問について解説していきます。
これを知らずに通勤手当を支給していると問題になる点もありますので、しっかり理解しておきましょう。
・支払条件の変更はできるのか
通勤手当の廃止や減額を検討する場合、労働条件の不利益変更(労働契約法第9条)に当たらないか注意が必要です。
・交通費との違いについて
通勤手当は自宅から会社までにかかる費用であるのに対し、交通費は就業中の移動で発生する費用です。あくまで通勤手当は「給料」ですので、交通費とは性質が異なる点を理解しておく必要があります。また、給与として社会保険の対象になる点にも注意が必要です。
経費精算を行い、交通費を給与と併せて会社から支給される場合は、交通費の部分に課税されることはありません。
・雇用形態による非課税限度額
通勤手当の非課税限度額は月額で判定します。
パートやアルバイトで雇用している従業員においても、非課税限度額の運用は変わりません。
・従業員による不正受給
故意又は不注意による通勤手当の不正受給は、よくある問題です。
労使間でのトラブルを未然に防ぐため、支給基準の周知を徹底しておく必要があります。
なお、不正受給か否かで非課税限度額が変わることはありません。
・現物支給の場合
通勤手当を定期券などの現物で支給する場合、現物給与として、給与所得の収入金額とされます。定期券を1年単位で支給した場合、月割りした額を給与に算入することになります。
なお、金銭支給と現物支給のどちらを選択しても、所得税の非課税限度額については変わりません。
参照:アルバイトに支給する通勤手当の非課税限度額|国税庁 (nta.go.jp)
参照:所得税法施行令 第167条の3 給与所得者の特定支出の範囲 | 法令集 (zeiken.co.jp)
通勤手当の支給には注意が必要!
いかがでしたでしょうか。
非課税限度額については国税局のホームページに掲載がありますので、併せてご覧下さい。
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東京税理士会(登録番号:112259)
監査法人トーマツに入社し会計監査及び株式公開支援業務に従事。その後、野村證券株式会社において資金調達やM&Aに関する財務戦略の提案業務を手掛け、また、ベアー・スターンズ証券東京支店では不動産融資及び証券化業務に携わる。
2008年に独立し、マクシブ総合会計事務所及びマクシブ・アドバイザーズ株式会社を立ち上げ代表に就任。