こんにちは!マクシブ総合会計事務所です。
更新:2026年9月8日
年末調整や確定申告で、所得税を算出する際に出てくる「控除額」。
控除には大きく分けて「所得控除」と「税額控除」があります。
皆さんは、この2つの違いを正しく理解していますか??
さらに、令和8年(2026年)分からは「基礎控除」「給与所得控除」「扶養親族等の要件」などに歴史的な大改正が行われます。これに伴い、いわゆる「年収の壁」や年末調整の書類も大きく変わるため、経理担当者だけでなく働くすべての方が知っておくべき内容となっています。
今回は、2つの控除の基本から、国税庁の最新情報に基づく令和8年改正のポイントまでを分かりやすく解説します!
控除について説明する前に、所得税の計算の大まかな流れを確認しておきましょう。
① 収入金額から基礎控除と給与所得控除(給与所得の場合)を差し引く。
② さらに各「所得控除」を差し引いた金額(課税所得)に、税率をかけて所得税額を算出する。
③ 所得税額から、税額控除を差し引き、最終的な納税額が決まる。
所得税は所得金額に応じた累進税率となっており、適用される税率によって結果的に控除される金額が変わってきます。
所得控除は、税率をかける前の「所得」から差し引くものです。 (例:基礎控除、配偶者控除、扶養控除、生命保険料控除、社会保険料控除など)
所得控除額が大きくなればなるほど、課税される所得が減るため税金は安くなりますが、「控除額=安くなる税金額」ではありません。 その人の所得に応じた税率(5%〜45%の累進課税)を掛けた金額分だけ、税金が安くなる仕組みです。
税額控除は、算出された「所得税額」から直接差し引くものです。 (例:住宅ローン控除、配当控除、寄附金特別控除など)
税額から直接マイナスするため、「控除額=そのまま安くなる税金額」となり、節税効果が非常に高くダイレクトに実感できるのが特徴です。
ここからは、令和8年(2026年)分から適用される、所得控除の超・重要アップデートです。今回の改正で、働く方の手取り額や非課税枠に大きな影響が出ます。
すべての納税者が無条件で受けられる「基礎控除」が大幅に引き上げられました。
合計所得金額489万円以下(給与年収目安:約665万円以下)の方の場合、本則62万円+特例42万円の加算により、基礎控除が「104万円」となります。(※令和8年・9年分の特例措置)
会社員やパート・アルバイトの方が給与から差し引ける「給与所得控除」について、最低保障額が従来の65万円から「74万円」へ引き上げられました。
上記の改正により、給与収入のみの方の場合、所得税がかかり始めるボーダーライン(非課税の壁)が劇的に変化します。
基礎控除(104万円)+ 給与所得控除(74万円)= 178万円
これまで「103万円の壁(あるいは160万円の壁)」などと呼ばれていた所得税の非課税ラインが、令和8年からは「178万円」まで拡大されることになります。
所得控除のベースラインが上がったことに伴い、配偶者控除や扶養控除を受けられる「扶養される側」の収入上限もアップしました。
扶養親族・同一生計配偶者
合計所得金額 62万円以下(給与収入のみなら 136万円以下)
配偶者特別控除
配偶者の給与収入が 207万円以下まで対象に。
勤労学生控除
合計所得金額 89万円以下(給与収入のみなら 163万円以下)
特定親族特別控除(※要注意!)
大学生年代(19歳以上23歳未満)などの特定親族の給与収入が136万円を超えても、197万円以下(合計所得金額123万円以下)であれば、段階的に控除を受けられる特例が設けられています。
今回の改正で税法上の扶養枠は「136万円」まで広がりましたが、健康保険や年金の扶養から外れる「社会保険の壁(130万円未満/企業規模によっては106万円)」は変わっていません。
「税金がかからないから」と136万円ギリギリまで働いてしまうと、社会保険の扶養から外れてかえって手取りが減ってしまう可能性がありますので、パート・アルバイトの方は十分ご注意ください。
今回の改正は「令和8年(2026年)12月1日」から施行されます。
そのため、給与計算・経理担当者様は以下の実務対応に注意が必要です。
特定親族向けの控除枠などが追加されたことに伴い、おなじみの申告書がさらに長く、複雑になっています。新しい書類の名称は以下の通りです。
『給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 給与所得者の特定親族特別控除申告書 兼 所得金額調整控除申告書』
※従業員へ配布する際は、新しいフォーマットを利用し、扶養親族の収入見込みを新基準(136万円以下など)で正しく記載してもらうよう事前のアナウンスが必要です。
とくに特定親族特別控除は「合計所得金額100万円」という新たな記載基準の分岐点が設けられているため注意しましょう。
令和8年1月〜11月支給分の給与: 従来の「源泉徴収税額表」を用いて税金を計算します(月々の天引き額はこれまで通り)。
令和8年12月の年末調整: ここで施行日を迎え、初めて「新基準(基礎控除104万円など)」を反映させて1年間分の精算を一気に行います。
令和9年(2027年)1月以降: 新しい源泉徴収税額表での月次控除がスタートします。
つまり、令和8年分の減税の恩恵は「12月の年末調整の還付金」として従業員へまとめて返還される形になります。
年末調整での還付額が例年より大きくなるケースが多発するため、会社の資金繰りや「還付未済額」の発生には十分にご注意ください。
いかがでしたか?
「所得控除」と「税額控除」の基礎的な違いを押さえた上で、今回の令和8年大改正(基礎控除等の大幅アップ)を理解すれば、ご自身の税金がどのように計算され、どう安くなるのかが見えてきます。
経理担当者様は、新しい扶養枠の確認や、年末調整書類の回収・チェック作業に向けて、早めの社内アナウンスをおすすめいたします!
マクシブ総合会計事務所では、こうした最新の税制改正に関する実務対応や、経理のアウトソーシングのご相談を随時承っております。お困りのことがございましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください!
この度、マクシブ社会保険労務士法人を設立いたしました。
経理代行サービスや節税対策はもちろんのこと、給与計算、年末調整等の関連業務を含む給与計算業務に係るトータルサポートも承っております。
社会保険料、源泉徴収税の控除を含む給与計算から、給与明細の発行、給与振込まで各種代行業務や、クラウド給与・勤怠ソフト導入のご提案などもさせていただいております。気になる方は是非、お気軽にご連絡下さい。
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監査法人トーマツに入社し会計監査及び株式公開支援業務に従事。その後、野村證券株式会社において資金調達やM&Aに関する財務戦略の提案業務を手掛け、また、ベアー・スターンズ証券東京支店では不動産融資及び証券化業務に携わる。
2008年に独立し、マクシブ総合会計事務所及びマクシブ・アドバイザーズ株式会社を立ち上げ代表に就任。