こんにちは。マクシブ総合会計事務所です。
今まで中小企業の設備投資を強力に後押ししてきた「少額減価償却資産の特例」は令和8年度(2026年度)税制改正により拡充されることになりました。
今回の改正では、判定基準となる取得価額の上限に変更が加えられています。本記事では、最新の改正内容に基づき、実務上の留意点を詳しく解説します。
マクシブ総合会計事務所
公認会計士・税理士:金子 太妥志
公認会計士(登録番号14762)税理士(登録番号112259)
通常、10万円以上の資産を購入した場合、会計上は固定資産として計上し、数年間にわたって減価償却を行う必要があります。しかし、この特例を利用することで、取得価額が一定金額未満の資産について、取得年度に全額を税務上の経費として処理できます。
令和8年度(2026年度)の改正における主要な変更点は以下の通りです。
今回の改正により、特例の対象となる資産の取得価額の上限が、従来の「30万円未満」から「40万円未満」へと引き上げ(緩和)されました。
近年の物価高騰やIT機器の高機能化に伴い、以前よりも高額な備品を一括で経費化しやすくなっています。
1個あたりの上限は上がりましたが、年間の合計限度額「300万円」に変更はありません。
単価上限が上がった分、年間で特例を適用できる「個数」は少なくなる可能性があります。
そのため計画的な設備投資を行わないと、年度末に上限を超えてしまい経費計上ができず、思わぬ資産計上(減価償却が必要な状態)になる可能性があります。
1個あたりの上限額は上がりましたが、特例を受けられる事業者の「常時使用する従業員数」の要件が、従来の「500人以下」から「400人以下」へと引き下げ(厳格化)されました。従業員数が400名前後の企業は、期末時点の人数判定に注意が必要です。
令和8年3月31日までとされていた本特例の適用期限が、今回の改正により令和11年(2029年)3月31日まで3年間延長されました。
改正後の「40万円未満」という基準は、令和8年(2026年)4月1日以後に取得して事業の用に供する資産から適用されます。
「40万円未満」の判定は、会社の経理方式(税込・税抜)に依存します 。
税抜価格で判定。
例:税込43万円(本体40万円未満)の備品は、特例を適用できます 。
税込価格で判定。
例:税込43万円の備品は、40万円以上となるため特例を適用できません 。
主要な事業として行われるもの以外の貸付け(節税目的のドローンの貸付等)に供した資産は、特例の対象外です。
法人税法上は一括で経費に落とせますが、固定資産税(償却資産税)の申告対象には含まれる点に留意してください。
はい、可能です。改正後は40万円未満が対象となるため、35万円であれば特例の範囲内となります。ただし、年間の合計300万円の枠を圧迫するため、他の投資計画との兼ね合いを確認してください。
青色申告書を提出する「中小企業者」または「個人事業主」が対象です。
ただし、資本金が1億円を超える法人や、常時使用する従業員の数が400人を超える事業者(法人・個人事業主)、白色申告の個人事業主などは適用できません。
A.新規設立や事業年度の変更等で事業年度が1年未満の場合には、上限金額の300万円を12カ月で割って事業年度の月数を掛けた金額を限度額とします。なお月数計算において、端数は切り上げとなります。
令和8年度の改正により、少額減価償却資産の特例はより高価な投資などに対応しやすくなりました。 しかし、年間300万円の枠は変わらないため、計画的な設備投資が必要となります。
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監査法人トーマツに入社し会計監査及び株式公開支援業務に従事。その後、野村證券株式会社において資金調達やM&Aに関する財務戦略の提案業務を手掛け、また、ベアー・スターンズ証券東京支店では不動産融資及び証券化業務に携わる。
2008年に独立し、マクシブ総合会計事務所及びマクシブ・アドバイザーズ株式会社を立ち上げ代表に就任。