Categories: 経理・会計

【2027年適用】新リース会計基準の概要:財務諸表と実務はどう変わる?

こんにちは。マクシブ総合会計事務所です。 

 

【1月末期限】「法定調書合計表」作成ガイド~基本からミスを防ぐポイントまで~1月末提出の「法定調書合計表」について、基本的な役割から提出期限、主要6種類、集計方法、よくあるミス、電子申告義務化まで、経理担当者向けにわかりやすく解説します。...

 

近年、日本の会計基準は国際財務報告基準(IFRS)との整合性を図るため、大きな変革期を迎えています。その中でも特に影響が大きいのが、2024年9月に公表された新リース会計基準(企業会計基準第34号)です。 

本記事では、2027年から強制適用となるこの新しい基準について、従来の会計処理との違いや、企業の財務指標に与える具体的な影響、そして中小企業への影響を、会計事務所の視点から詳しく解説します。 

改正の背景と適用スケジュール

なぜ今、リース会計が変わるのでしょうか。最大の理由は「国際的な比較可能性の確保」にあります。 

世界標準であるIFRSや米国基準では、すでに「すべてのリースを貸借対照表に計上する」という考え方が定着しています。日本でもこれに合わせる形で、いわゆる「オフバランス処理」を原則として廃止し、透明性の高い財務報告を目指すことになりました。 

適用時期について

  • 公表日: 2024年9月13日
  • 強制適用: 2027年4月1日以後開始する事業年度から
  • 早期適用: 2025年4月1日以後開始する事業年度から可能

最大の変更点:シングルモデルへの移行

これまでの日本基準では、リース取引を「ファイナンス・リース」と「オペレーティング・リース」の2つに分類し、「ファイナンス・リース」のみ原則として資産・負債として計上していました。しかし、新基準ではこの区分が撤廃され、借手側は原則としてすべてのリースを資産・負債として計上する「シングルモデル」が採用されます。 

変更のポイント

オンバランス化の徹底

従来は費用処理(支払リース料)だけで済んでいたコピー機や車両、さらには不動産(オフィスや店舗)の賃貸借契約までもが、原則として使用権資産リース負債として貸借対照表(B/S)に計上されます。 

リース期間の再定義

単なる契約期間だけでなく、延長オプションの行使が合理的に確実な期間なども含めて判断する必要があり、見積もりの要素が強まります。 

中小企業への直接的な影響と「適用対象」の境界線

「うちは上場していないから関係ない」と思われがちですが、実は間接的に大きな影響を受ける可能性があります。 

適用対象となる企業

新リース会計基準が強制適用されるのは、主に以下の企業です。 

  • 上場企業
  • 会社法上の「大会社」(資本金5億円以上または負債総額200億円以上)
  • 会計監査人を任意設置している企業
  • 上記企業の「連結子会社」や「持分法適用関連会社」

ここで注意すべきは「上場企業の連結子会社」です。規模が小さくても、親会社が上場していれば、連結パッケージ作成のために新基準に基づいたデータ提供を求められることになります。 

「中小企業の会計に関する指針」を適用している場合

いわゆる一般的な非上場の中小企業については、引き続き「中小企業の会計に関する指針」や「中小会計要領」に基づき、従来通りの賃貸借処理(オフバランス処理)を継続することが認められています。 

しかし、「義務ではないから無視して良い」とは言い切れない面もあります。 

非上場の中小企業も無視できない3つのリスク

強制適用の対象外であっても、以下のケースに該当する中小企業は準備が必要です。 

金融機関からの評価(格付け)への影響

銀行が融資判断を行う際、企業の財務諸表を「実質的な実態」に合わせて修正して評価することがあります。たとえ帳簿上はオフバランスであっても、多額のリース債務や不動産賃借料を抱えている場合、銀行側の分析ソフトによって「潜在的な負債」としてカウントされ、自己資本比率の見かけ上の悪化が融資条件に影響する懸念があります。 

親会社や主要取引先からの要請

前述の通り、親会社が新基準を適用する場合、子会社にも同様の管理が求められます。また、大手企業と取引がある場合、取引先評価の一環として、新基準に準拠した財務情報の開示を求められるケースが今後増えていくと予想されます。 

IPO(新規上場)を目指す場合

将来的に上場を検討している企業は、直近期だけでなく「直前々期」から新基準に対応した会計処理を行う必要があります。上場準備のスケジュールから逆算すると、今すぐの対応が必須となるケースも少なくありません。 

財務指標への具体的な影響とシミュレーション

新基準を適用した場合、企業の「決算書の見栄え」は以下のように変化します。 

財務指標 変化の傾向 主な理由
総資産・総負債 大幅に増加 リース負債・使用権資産がB/Sに載るため
自己資本比率 低下 分母となる総資産が膨らむため
営業利益 改善(見かけ上) 支払リース料(販管費)の一部が支払利息(営業外費用)へ移るため
EBITDA 改善 支払リース料が減価償却費と利息に置き換わるため

特に建設業や製造業など、高額な重機や設備をリースで導入している業種や、店舗を多数展開する小売・飲食業では、負債総額が数千万円〜数億円単位で変動する可能性があります。 

実務上の留意点と対策:不動産賃貸借の壁

今回の改正で最も「重い」とされるのが、オフィスや店舗の家賃です。 

これまでの日本基準では、オフィス家賃は単なる「費用」でしたが、新基準では「場所を借りる権利」という資産として計上し、将来の支払義務を負債として載せる必要があります。 

計算が複雑

将来支払う家賃を「現在の価値」に割り引いて計算する必要があります。 

期間の見積もり

契約書が2年更新であっても、実際には10年入居し続ける予定であれば、10年分の家賃を負債計上する判断が必要になる場合があります。 

今から取り組むべきアクションプラン

会計事務所として、顧問先の皆様には以下の3ステップでの準備を推奨しています。 

契約の棚卸しと重要性の判断

「少額リース(300万円以下)」や「短期リース(12ヶ月以内)」はオフバランス継続が可能な免除規定があります。まずはどの契約がオンバランス対象になるかを仕分けします。 

インパクト分析(試算)

新基準を適用した場合、自己資本比率が何%下がるのか、利益がどう動くのかを試算します。これは銀行交渉の際の「事前説明」にも役立ちます。 

業務フローとシステムの確認

手作業での計算はミスを誘発します。お使いの会計ソフトが新基準に対応しているか、あるいはリース管理ソフトの導入が必要か検討を始めてください。 

まとめ

新リース会計基準は、単なる会計処理の変更ではなく、企業の「財務戦略」や「管理体制」を根本から問い直す大きな転換点です。 

たとえ現在、強制適用の対象外である中小企業であっても、社会全体の会計スタンダードが「オンバランス」へ移行していく流れを無視することはできません。将来的な資金調達や事業承継、上場を見据えるのであれば、この機会に自社のリース契約の実態を正確に把握しておくべきでしょう。 

東京都中央区のマクシブ総合会計事務所では、税務に関する関する最新情報や、お客様の状況に応じた適切なアドバイスを提供いたします。ご不明な点やご不安な点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

経理代行サービスや節税対策はもちろんのこと、給与計算、年末調整等の関連業務を含む給与計算業務に係るトータルサポートも承っております。

社会保険料、源泉徴収税の控除を含む給与計算から、給与明細の発行、給与振込まで各種代行業務や、クラウド給与・勤怠ソフト導入のご提案などもさせていただいております。気になる方は是非、お気軽にご連絡下さい。

■FASクラブ(登録すれば補助金や助成金の情報が届く!)

■X(旧Twitter)

毎月の記帳業務が煩わしい、税務のことはよく分からない、決算時の処理が分からない…そのようなお悩みも「経理代行サービス」の導入で解消してしまいましょう!

経理業務においてお悩みのお客様は、初回の無料面談をご予約いただければと思います!

📞03-6450-1117
経理外注・記帳代行センターHP
マクシブ総合会計事務所HP

補助金や資金繰り支援に関する最新情報をお届けしています。

ご登録はコチラ → ◇FASクラブ メルマガ◇

税理士:金子 太妥志
【監修】税理士:金子 太妥志
東京税理士会(登録番号:112259)

監査法人トーマツに入社し会計監査及び株式公開支援業務に従事。その後、野村證券株式会社において資金調達やM&Aに関する財務戦略の提案業務を手掛け、また、ベアー・スターンズ証券東京支店では不動産融資及び証券化業務に携わる。

2008年に独立し、マクシブ総合会計事務所及びマクシブ・アドバイザーズ株式会社を立ち上げ代表に就任。

マクシブ総合会計事務所

都内の会計事務所~マクシブ総合会計事務所~が運営するブログです。 中小企業向けの経理や税務のお助け情報や、豆知識をご紹介しています。 是非ご参考になさってください!