

今回は「減価償却」について紹介していきます。
減価償却に関する知識は、有形固定資産等を取得した際の経理業務において必要となります。
資産の種類によって減価償却方法が定められていたり、法人か個人事業主かによっても取り扱いが異なったりしますのでしっかり理解しましょう。
減価償却とは?
減価償却とは、固定資産の取得価額を、使用可能期間にわたり分割して経費計上する手続きをいいます。
取得した資産の耐用年数(使用可能期間)に応じて、1事業年度の償却費を計算します。
帳簿上では「減価償却費」という勘定科目を使用して費用計上します。
減価償却を行う資産は、原則として「耐用年数が1年以上で取得価格が10万円以上の資産」となります。
※条件により取得時における即時償却や3年間での均等償却により経費計上できる特例もあります(少額減価償却資産、一括償却資産)
しかしながら、事業に使用していないものや時間が経過しても価値が減少しないもの(土地や美術品等)は減価償却の対象とはなりませんのでご注意ください。
尚、税務上の耐用年数(=法定耐用年数)は、資産の種類や用途、素材によって細かく決められていますので、以下の参考URLで取得した資産がどれにあたるのか確認した上で計算しましょう。
参考URL:国税庁(主な償却資産の耐用年数表)
減価償却方法について
主な減価償却方法として「定額法」と「定率法」があります。
定額法:毎年一定額を償却する方法 「取得価格×定額法の償却率」
定率法:毎年一定率を償却する方法 「未償却残高×定率法の償却率」
定額法は、毎年同額の償却となります。
定率法では、初期ほど償却額が大きく、年数とともに減少していきます。
それでは実際に例を出して計算をしてみましょう。
計算例)資産の取得価額1,000,000円、耐用年数10年の1年間の減価償却費※取得日は期首とする
【定額法】
償却率0.100
1,000,000円(取得価額)×0.100(償却率)=100,000円
毎年100,000円を減価償却費として計上します。
【定率法】
償却率0.200
『1年目の減価償却費』
1,000,000円(取得価額)×0.200(償却率)=200,000円
『2年目の減価償却費』
(1,000,000円(取得価額)-200,000円(減価償却累計額))×0.200(償却率)=160,000円
『3年目の減価償却費』
(1,000,000円(取得価額)-360,000円(減価償却累計額))×0.200(償却率)=128,000円
…
尚、10年目は残存価格を1円残して計算します。
帳簿上で資産を有していることを示すための備忘価額として残す必要があります。
また定率法において、減価償却額が「償却保証額(資産の取得価額 × 耐用年数に応じた保証率」に満たなくなった場合、その年度から償却資産終了時までは次の計算方法になります。
☞「改定取得価格(その年の期首未償却残高)×改定償却率」
「改定償却率」「保証率」は「耐用年数省令別表第九、第十」を確認してください。
参考URL:e-GOV法令検索
定額法と定率法のメリットとデメリットについて
定額法のメリットは、計算方法がシンプルで、定率法より初期の減価償却費が少ないため利益が多く残ります。逆に定率法に比べ初期の節税効果が小さくなります。
定率法のメリットは、早い段階で費用計上できますので、初期の節税効果が大きいといえます。しかしながら年数が経つにつれて節税効果が薄れ、また、計算方法も複雑となります。
参考URL:国税庁No.2106 定額法と定率法による減価償却(平成19年4月1日以後に取得する場合)
法定償却方法とは?
「法定償却方法」とは、税務署へ届出をしていない場合に適用する減価償却方法のことをいいます。
償却方法は自由に決められるわけではなく、資産によって、また法人か個人かによって法定の償却方法が定められています。
個人の場合は、原則として「定額法」と定められています。
(※2016年4月1日以後に取得した資産)
ただし、「機械装置、車両運搬具、工具備品」については、事前に税務署に届出を提出すれば定率法の選択も可能となっています。
法人の場合は原則として下記の償却方法が定められています。
(※2016年4月1日以後に取得した資産)
定額法…建物、建物付随設備、構築物、ソフトウェア
定率法…機械装置、車両運搬具、工具備品
※ただし、定率法の機械装置、車両運搬具、工具備品に関しては、届出を提出すれば定額法の選択も可能となっています。
個人と法人で扱いが違いますので注意しましょう。
償却方法を変更する場合の手続きについて
償却方法を変更したい場合は、償却方法の変更を希望する事業年度開始日の前日までに、「減価償却資産の償却方法の変更承認申請書」を所轄税務署長に提出する必要があります。
添付資料等は特にありません。
参考URL:国税庁 No.5407 減価償却資産の償却方法の変更手続
正しく減価償却費を計上しよう。
いかがでしたでしょうか。
減価償却費の計算は確認すべき点が多く時間を要する作業になると思います。
取得した資産の条件(耐用年数、償却方法等)がどれにあたるかを確認し、正しい減価償却費を計上し管理していきましょう。
参考URL:減価償却のあらまし 国税庁




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東京税理士会(登録番号:112259)
監査法人トーマツに入社し会計監査及び株式公開支援業務に従事。その後、野村證券株式会社において資金調達やM&Aに関する財務戦略の提案業務を手掛け、また、ベアー・スターンズ証券東京支店では不動産融資及び証券化業務に携わる。
2008年に独立し、マクシブ総合会計事務所及びマクシブ・アドバイザーズ株式会社を立ち上げ代表に就任。