法人の経費にならないことも?!償却費の損金経理要件について

こんにちは。マクシブ総合会計事務所です。

本日のテーマは「減価償却の損金経理の要件」についてです。
法人が事業のために用いる減価償却資産(建物、附属設備、機械装置、工具器具備品等)を取得した際、減価償却費を損金に計上することで法人税の課税所得を計算します。
しかし法人税の減価償却には法令で定められた「損金経理要件」があり、誤った処理を行いこの要件を満たさないと損金に算入することができない場合があります。
今回の記事では法令をふまえてわかりやすく解説いたします。
償却費の損金算入
法人が減価償却資産を取得した際は、減価償却により費用化されることで損金に算入することが出来ます。具体的に減価償却資産の償却費の計算及びその方法の条文を紹介します。
内国法人の各事業年度終了の時において有する減価償却資産につきその償却費として第22条第3項(各事業年度の所得の金額の計算の通則)の規定により当該事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入する金額は、その内国法人が当該事業年度においてその償却費として損金経理をした金額(以下この条において「損金経理額」という。)のうち、その取得をした日及びその種類の区分に応じ、償却費が毎年同一となる償却の方法、償却費が毎年一定の割合で逓減する償却の方法その他の政令で定める償却の方法の中からその内国法人が当該資産について選定した償却の方法(償却の方法を選定しなかった場合には、償却の方法のうち政令で定める方法)に基づき政令で定めるところにより計算した金額(次項において「償却限度額」という。)に達するまでの金額とする。
法人税法第31条:法人税法 | e-Gov法令検索より引用
上記の条文にあるように、当該事業年度の所得を計算する上で損金に計上することが出来るのは、法人が償却費として損金経理した金額のうち、政令で定められた償却限度額に達するまでであり、償却限度額を超えた場合は償却超過額として翌事業年度以降に繰越すことになります。
また条文中に「各事業年度終了の時において有する減価償却資産につき」とありますように、事業年度終了時において事業の用に供されている必要があり、この要件を満たさないと、当該事業年度の損金に算入できないだけでなく、「償却超過額」として翌事業年度以降の繰り越しも出来ない場合がありますので注意が必要です。
実際にあった事例(昭和62年12月18日裁決、裁決事例集No.34-57頁)で、減価償却資産である特殊車両を購入したが、納車されたのが翌事業年度であったことから、損金の額には算入できないとされました。
「償却費として損金経理した金額」とは?
法人税法第31条の「償却費として損金経理した金額」とは必ずしも「償却費」の勘定科目で経理されたものだけが該当するわけではありません。実情に即した処理をするために償却費以外の勘定科目で処理していたとしも償却費として損金経理した金額に含むことが出来ます。例えば建物の改良を行い、それに伴う支出を修繕費として経理処理したが、法人税法施行令第132条〈資本的支出〉の規定に該当し損金の額への算入がされなかった場合の金額も「償却費として損金経理した金額」として含めることが出来ます。他にも法人税基本通達7-5-1において、償却費以外の勘定科目で処理していたとしも償却費として損金経理した金額に含むことが出来るケースが記載されております。

法人税法基本通達7-5-1第5節 償却費の損金経理|国税庁 (nta.go.jp)より引用
また取得した償却資産の取得価格の全部または一部を資産計上せずに損金経理した場合において、法人税通達7-5-1に該当しなくても、その資産を事業の用に供した事業年度の確定申告書又は修正申告書に計上しなかった金額を記載した明細書を添付し申告調整を行うことで、償却費として損金経理した金額として扱うことが出来ます。
法人税基本通達7-5-2は、
①取得価格に含まれないと誤認されやすいもの(付随費用等)
②減価償却と同じ性質を持ち、損金算入が認められない場合に償却したとされるもの(評価損等)
上記ふたつのみが対象のため、誤った勘定科目(仕入高等)で処理をしてしまうと損金に算入できない場合もありますので注意が必要です。

法人税法基本通達7-5-2第5節 償却費の損金経理|国税庁 (nta.go.jp) より引用
償却費の損金経理の仕組みを理解しよう!

いかがでしたか?
減価償却費の損金経理の要件を知らないと、損金算入することができず想像以上の税金を納めることとなります。
減価償却についてもっと深く知りたい方は他の記事も参考にしてみてくださいね。
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東京税理士会(登録番号:112259)
監査法人トーマツに入社し会計監査及び株式公開支援業務に従事。その後、野村證券株式会社において資金調達やM&Aに関する財務戦略の提案業務を手掛け、また、ベアー・スターンズ証券東京支店では不動産融資及び証券化業務に携わる。
2008年に独立し、マクシブ総合会計事務所及びマクシブ・アドバイザーズ株式会社を立ち上げ代表に就任。








