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更新日:2026年10月19日

今日は、会社が負担する「社員旅行の旅費」について税務上の取り扱いを解説します。

社員旅行は、従業員のエンゲージメント向上や離職防止、ひいては円滑な事業承継に向けた組織づくりに直結する重要な福利厚生です。

社員旅行を通して社員間のコミュニケーションの活性化や、社員のモチベーションアップを図りたいとお考えの経営者の方は、ぜひ参考にしてみてください。

今回は、オーナー経営者の皆様へ向けた「節税・資産管理・事業承継ガイド」として、国税庁の最新基準の確認や、2026年度に併用できる自治体の旅行補助金情報なども付け加えてアップデートしてお届けします!

【2026年現行情報】制度区分・適用期限・対象者等のまとめ

社員旅行を検討する際、ベースとなる「税務ルール」と、実質的なコストを下げる「自治体等の補助金」は分けて整理しておくことが重要です。現在のステータスは以下の通りです。

① 税務上の特例ルール(ベース)

●【制度区分・管轄】 国税庁(所得税基本通達 36-30:使用者が負担するレクリエーション費用)

●【適用期限・公募回】 恒久制度のため期限なし(通年いつでも適用可能)。公募・申請といった概念もありません。

●【対象者】 全従業員(パート・アルバイト等も原則含む)。工場や支店ごとの実施も対象。

●【効果・補助率】 会社負担額の100%が「福利厚生費」として損金算入され、節税効果を生みます。

② 自治体等の団体旅行・貸切バス補助金(併用でお得に)

●【制度区分・管轄】 各地方自治体・観光協会・健康保険組合などが主催する「旅行費補助金」「団体旅行誘致・貸切バス利用助成事業」等。

●【適用期限・公募回】 令和8年度(2026年度)枠として随時公募中。(※予算上限に達し次第終了となるケースが多く、最新の公式公募要領の確認が必須です)

●【効果・補助率】 貸切バス1台につき2万円〜5万円程度の定額助成や、参加者1名につき数千円の宿泊割引・地域クーポンの付与など(※自治体や制度により異なります)。

社員旅行の旅費は会社の経費になるの?

まず、会社が旅費を支払っている場合、会社の経費となることに異論はありません。
他方で、これを従業員に対する給与として扱うか、福利厚生費として扱うかが問題となります。

給与として扱う場合には、通常の給与と同様に、会社は源泉所得税を徴収して納付しなければなりません。
つまり、従業員の側から見ると税金が増えてしまうのです。
できれば給与にはしたくないというのが本音ですね。

超重要!従業員に対する給与課税を避けるには?

以下(1)~(3)の3つ要件を満たす場合には、給与として扱わなくてよいとされています。

当たり前のことですが、実際に社員旅行に行った証として、請求書や領収書、参加者一覧表、旅行スケジュール表など証拠資料はきちんと保存しておきましょう。

【参考】国税庁HP

(1)旅費が少額(一人当たり10万円以下)であること

会社が負担する旅費が「少額不追求の趣旨」を逸脱していないことが重要です。

少額不追求とは、従業員に供与する経済的利益の額が少額の現物給与は強いて課税はしませんよという考え方です。

国税庁ウエブサイトには、”会社が負担する旅費が一人当たり10万円の場合”に少額不追求の趣旨を満たすとする事例が掲載されています。

【参考】国税庁HP

他方で、国税不服審判所の裁決事例では一人当たり241,300円の場合に給与として認定されたケースがあり、現在の実務上も「10万円程度まで」が安全なラインとされています。

(2)旅行の期間が4泊5日以内であること

海外旅行の場合には、外国での滞在日数が4泊5日以内であることとされます。

(3)旅行に参加した人数が全体の50%以上であること

工場や支店ごとに行う旅行は、それぞれの職場ごとの人数の50%以上が参加すればよいとされています。

こんな社員旅行は要注意!

オーナー経営者の方や資産管理会社でありがちですが、以下のような社員旅行は、旅費が福利厚生費に算入されません。しっかりチェックして、正しい会計処理を行いましょう。

(1)役員だけで行う旅行

役員賞与として扱われ、会社は経費扱いが認められません。
また、源泉所得税の徴収の対象となってしまいます。

(2)成績優秀者のみで行う旅行

慰安ではなく報奨とみなされ、給与として課税されることになります。

(3)取引先に対する接待、供応、慰安等のための旅行

交際費として処理することになります。

(4)実質的に私的旅行と認められる旅行

従業員それぞれが旅行先を自由に決定できるような場合。
プライベートな旅行と変わりませんので、給与として課税されることになります。

(5)不参加者に金銭を支給する場合

「旅行に行かないなら現金を支給する」とした場合、参加者・不参加者の全員について給与の支給があったものとされてしまいます。

(6)従業員の家族が同伴する旅行

従業員の家族分の旅費を会社が負担する場合、その従業員及び家族分の旅費の全額が給与として課税されてしまいます。
したがって、本人以外の家族分の旅費については、その従業員に実費を支払ってもらうようにしてください。

消費税の課税区分とインボイス制度への対応について

旅費に関する消費税の課税区分の取り扱いについて簡単に触れておきます。

社員旅行が国内旅行の場合、旅費は課税仕入れとして処理することになります。
その際、2023年10月に開始された「インボイス制度」に基づき、旅行会社やホテル等から適格請求書(インボイス)を受領し、保存することが要件となりますのでご注意ください。

一方で海外旅行の場合には、航空券代や海外での滞在費等には日本の消費税は課されませんので「対象外仕入れ」として処理することになります(国内の移動費用等は課税仕入れとなります)。 経理処理における消費税の課税区分と証憑保存には十分注意するようにしましょう。

【最新動向】2026年施行・食事補助の非課税枠拡充との合わせ技

社員旅行と並んで、オーナー企業の福利厚生・事業承継に向けた組織づくりで注目されているのが「食事補助」です。

国税庁の通達改正により、2026年(令和8年)4月1日より、従業員への食事補助の非課税限度額が約40年ぶりに「月額3,500円から7,500円(税別)」へと大幅に引き上げられました(※従業員が食事代の50%以上を負担する等の要件あり)。

社員旅行の計画と併せて、自社の福利厚生規定全体を見直す絶好のタイミングと言えます。

おわりに

いかがでしたか??

社員のモチベーションアップや、円滑な事業承継に向けた組織強化につながる社員旅行。
検討されている法人様は、経費算入になるかならないかをしっかりとチェックし、活用できる自治体の補助金なども上手く組み合わせて対応しましょう!

国税庁HP

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【監修】税理士:金子 太妥志

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