分かりやすく!【第2回】インボイス制度と経過措置(2026年最新版:2割特例終了・3割特例)
皆さん、こんにちは!
マクシブ総合会計事務所です!
前回の第1回では、「軽減税率」の基本や対象品目についておさらいしました。
第2回目の今回は、消費税実務でいま最も気をつけなければならない「インボイス制度(適格請求書等保存方式)の特例と経過措置」の最新動向を解説します。
2023年10月にインボイス制度がスタートして以来、負担軽減のための「2割特例」や「80%控除(経過措置)」が設けられていましたが、2026年(令和8年)の秋を境に、これらの特例ルールが大きく変更されます。経理担当者や経営者の皆様は、ぜひ本記事で最新のルールをチェックしてください!
そもそも経過措置とは?
「経過措置」とは、新しい法令・規定を施行する際、その法令や規定を限定的に緩和させて、新しい秩序への移行をスムーズに行うための措置となっています。
※2014年の消費税増税の際も、この経過措置が取られたのは記憶にも新しいと思います。
消費税とは、国内事業者が事業として対価を得て行うモノやサービスに関してかかってきます。
しかし、一部のモノとサービスは、支払いの時期と提供の時期がずれてしまうことがあります。
このタイミングのズレが、消費税増税の2019年10月1日を跨いで起きることにより、税処理上の不都合が起きてしまうのです。
それを緩和させるのが「経過措置」という法的措置なのです。
例をあげて詳しくご説明しましょう。
●デパートで洋服を購入した(モノやサービスの提供日と支払日が同日の場合)
このケースはモノの提供を受けた日と、買った時の消費税率が同じなので税処理上の不都合は起きません。
●美術館の観覧の前売り券を購入した(モノやサービスの提供日と支払日が別日の場合)
前売り券の購入日が9月30日(消費税増税前)で、実際に美術館で観覧をした日が10月1日(消費税増税後)だとすると、買った日に適用される消費税率が8%なのに対して実際にサービスを受けるときの消費税率は10%ということになります。
ここで2%という税率の差が生まれ、消費者はもちろん役務を提供する事業者側にも不都合が生じます。
そこで、一定の取引においては「経過措置」を適用させるということになりました。
経過措置が適用される取り引きとは
2019年10月1日からの消費税の増税に伴い、国税庁は経過措置を適用する取り引きを10種類として発表しています。
1.旅客運賃等
消費税増税施行日以後に行われる電車、航空等にかかわる旅客運賃や、映画館、競馬場競輪場、美術館、遊園地等への入場券のうち、2014年4月1日〜2019年9月30日までの間に領収されるものに旧税率が適用される。
2.電気料金等
継続供給契約に基づいて、消費税増税施行日以前から継続して供給している電気、ガス、電話、灯油にかかる料金等のうち、消費税増税施行日から2019年10月31日までの間に料金の支払いが確定するものに旧税率が適用される。
3.請負工事等
2013年10月1日〜2019年3月31日までに締結した工事(製造を含む)にかかる請負契約(一定の条件あり)に基づき、消費税増税施行日以後に行われる建物や完成品の引き渡しに関して、旧税率が適用される。
ソフトウェア開発など請負や委任に関わる契約で、完了するまでに長期間を要するのが通例で、かつ目的物の引き渡しが一括して行われるもののうち、仕事の内容につき相手型の注文が付されているものも対象。
4.資産の貸付け
2013年10月1日〜2019年3月31日までの間に締結した資産の貸付けに基づき、消費税増税施行日以前から引き続き貸付けを行なっている場合には、旧税率が適用される。
5.予約販売にかかる書籍等
2019年4月1日前に締結した不特定多数のものに対する定期継続供給契約に基づき、譲渡する書籍その他の物品にかかわる対価の全部または一部を、2014年4月1日〜2019年9月30日までに領収している場合は、消費税増税施行後に行われる書籍その他の物品の譲渡について旧税率が適用される。
6.特定新聞
不特定多数のものに対して、一定の期間を周期として定期的に発行される新聞で、発行者が指定する発売日が施行日前で、かつ施行日後に譲渡した場合については旧税率が適用される。
7.通信販売
通信販売の方法により商品を販売する事業者が、2019年4月1日より前に販売価格等の条件を提示した場合において、施行日前に申し込みを受けており、かつ提示した条件に従って施行日以後に商品を販売した場合は、旧税率が適用される。
8.家電リサイクル
家電リサイクル法に規定する製造業者等が、特定家庭用機器廃棄物の再商品化等に関わる対価(リサイクル料金)を施行日前に領収している場合については、再商品化等が施行日以後に行われる場合でも旧税率が適用される。
9.有料老人ホーム
26年指定日〜31年指定日の前日までに締結した有料老人ホームにかかる終身入居契約(一定の条件あり)に基づき、施行日前から同日以後引き続き介護にかかる役務の提供を行なっている場合における、施行日後における当該入居一時金には旧税率が適用される。
10.指定役務の提供
「指定役務の提供」とは、冠婚葬祭のための施設の提供その他の便益の提供にかかる役務の提供のこと。
26年指定日〜31年指定日の前日までに締結した役務の提供にかかる契約のうち、性質上役務の提供の時期をあらかじめ定めることができないもので、対価の支払いは施行前だが役務の提供は施行後のものに関しては旧税率が適用される。
【2026年9月末で終了】「2割特例」のおさらいと注意点
インボイス制度の開始を機に免税事業者から課税事業者になった方向けの激変緩和措置として、「売上にかかる消費税額の2割を納税額とする」という「2割特例」が設けられていました。
この2割特例は延長されることなく、予定通り2026年(令和8年)9月30日の属する課税期間をもって終了となります。 (※個人事業主の場合は、令和8年分(2026年分)の確定申告が最後の適用となります)
2割特例が終了した後は、原則的な計算方法である「本則課税」か、売上高から税額を計算する「簡易課税」のいずれかを選択するのが基本となります。
【新設】個人事業主向け「3割特例」とは?
2割特例の終了に伴う急激な税負担増を避けるため、令和8年度税制改正により新たに「3割特例」が創設されました。
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特例の内容:売上にかかる消費税額の「3割」を納税額とすることができる措置(みなし仕入率70%相当)
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適用期間:令和9年分(2027年分)および 令和10年分(2028年分)の消費税確定申告(計2年間)
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適用要件:基準期間(前々年)の課税売上高が1,000万円以下であること 等
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手続き:事前の届出は不要(確定申告書に適用を受ける旨を記載)
【⚠️法人は適用対象外である点に要注意!】
ここで最も気をつけなければならないのは、「3割特例」は個人事業者のみが対象であり、法人は適用できないという点です。
法人の場合、2割特例終了後は速やかに「本則課税」か「簡易課税」へ移行しなければなりません。
簡易課税を選択する方が有利なケースも多いですが、適用を受けるには事前に「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出する必要があるため、早めの税額シミュレーションが必須となります。
免税事業者からの仕入に関する「経過措置」の段階的縮小(7・5・3割控除)
インボイス発行事業者ではない免税事業者からの仕入れであっても、一定の割合を仕入税額とみなして控除できる「経過措置」について、控除割合がより緩やかに引き下げられるスケジュールに見直されました。2026年10月1日から以下のように段階的に引き下げられます。
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~2026年9月30日:80%控除
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2026年10月1日~2028年9月30日(2年間):70%控除
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2028年10月1日~2030年9月30日(2年間):50%控除
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2030年10月1日~2031年9月30日(1年間):30%控除
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2031年10月1日以降:控除なし(0%)
2026年10月からは「70%控除」へと移行するため、会計システムの設定変更などを忘れずに行いましょう。
【⚠️「1億円上限ルール」の新設に注意】
令和8年(2026年)10月1日以後に開始する課税期間から、同一の免税事業者からの課税仕入れが年間で「1億円(税込)」を超える場合、その超過部分については経過措置(70%控除等)が適用できなくなります。
特定の下請業者や外注先へ多額の支払いがある企業は、取引先ごとの年間仕入額の管理が新たに必要です。
インボイス制度下の「保存要件」をおさらい
インボイス制度において仕入税額控除を受けるためには、正しい証憑と帳簿の保存が不可欠です。
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適格請求書(インボイス)の保存 原則として、登録番号や税率ごとの消費税額等が正しく記載されたインボイスの保存が必要です。
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帳簿への記載要件 帳簿には通常の記載事項に加え、免税事業者からの仕入れで経過措置(70%控除等)を適用する場合には、その旨(例:「80%控除対象」「70%控除対象」などの記載)を記載することが義務付けられています。摘要欄等への記載漏れがないよう、社内の経理ルールを今一度見直しておきましょう。
消費税やインボイス対応に関するお悩みは…
いかがでしたでしょうか。
2026年の後半は、経過措置の引き下げ(80%→70%)や2割特例の終了など、インボイス制度が次のステップへと進む重要なタイミングです。
「法人は3割特例が使えない」「帳簿の保存要件や取引先ごとの集計が必要」など、見落としがちなポイントが多数あります。
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東京税理士会(登録番号:112259)
監査法人トーマツに入社し会計監査及び株式公開支援業務に従事。その後、野村證券株式会社において資金調達やM&Aに関する財務戦略の提案業務を手掛け、また、ベアー・スターンズ証券東京支店では不動産融資及び証券化業務に携わる。
2008年に独立し、マクシブ総合会計事務所及びマクシブ・アドバイザーズ株式会社を立ち上げ代表に就任。


