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【令和8年度税制改正】通勤手当の非課税限度額が引き上げ ~給与計算担当者が押さえておきたいポイント~こんにちは。マクシブ総合会計事務所です。  https://maxiv.blog/small-value-depr...

老後の資産づくりや節税の手段として、iDeCo(個人型確定拠出年金)や企業型DC(確定拠出年金)を活用する方が増えています。
これらは受け取るときにも「退職所得控除」などの税制優遇を受けられるのが魅力です。

ところが2026年(令和8年)1月から、この受け取りに関わる改正(いわゆる「10年ルール」)が始まりました。受け取る順番や間隔によっては、控除額が減って手取りが変わってしまいます。

役員退職金を控えた経営者はもちろん、従業員へ退職金を支給する会社にも関わる話です。本記事では、気をつけるべきポイントを分かりやすく解説します。

監修 マクシブ総合会計事務所 公認会計士・税理士:金子 太妥志 公認会計士(登録番号14762)税理士(登録番号112259)

2026年1月から変わった退職金の「10年ルール」とは?

①退職金が優遇される「退職所得控除」の基本

退職金は「退職所得」として、給与などとは分けて課税され、税制上大きく優遇されています。その中心が「退職所得控除」です。
勤続年数に応じて、次の金額を収入から差し引けます。

勤続20年以下:40万円 × 勤続年数(最低80万円)
勤続20年超:800万円 + 70万円 ×(勤続年数 − 20年)

さらに、控除を差し引いてもなお残る金額は、その半分(2分の1)だけが課税対象になります。たとえば控除後に600万円が残っても、課税されるのはその半分の300万円だけ、というイメージです。
この二段構えの優遇により、通常の給与より税負担がかなり軽くなります。

役員等で勤続年数が5年以下の場合(特定役員退職手当等)は、この2分の1課税が適用されません。

また、従業員で勤続年数が5年以下の場合(短期退職手当等)も、控除後の金額のうち300万円を超える部分については2分の1課税が適用されない点にご注意ください。

参考:国税庁「No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)」 

退職金にかかる税額と退職金に関する申告書とは??退職金にかかる税額と退職金に関する申告書について解説します。...

②控除の「調整期間」が5年→10年に延長された

退職金とiDeCo・DCの一時金を「両方」受け取る場合、同じ勤続・加入期間に対して控除を二重に使えないよう、一定期間内に複数の一時金を受け取ると、重複する期間分の控除が差し引かれる調整が入ります。

今回の改正では、この調整の対象となる期間が「前年以前4年内」(受け取りの間隔でいうと5年)から「前年以前9年内」(同10年)へ延長されました。
これまでは受け取りの間隔を5年空ければ控除を満額使えましたが、改正後は10年空けないと控除が減ってしまいます。これが、俗に言う「5年ルール」から「10年ルール」への変更です。

適用は、2026年1月1日以後にDC一時金を受け取り、その後に退職金を受け取る場合からです。
参考:国税庁「No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)

【退職金・iDeCoの受け取り 要確認チェック】
 役員退職金と、iDeCo・企業型DCの一時金の両方を受け取る予定がある
 iDeCo・DCを退職金より「先に」受け取る(すでに受け取った)
 その受け取り間隔が10年未満になりそう
 従業員に退職金・DCの支給予定がある

一つでも当てはまる場合、受け取る順番・時期の選び方で今後の税額が変わる可能性が高いです。

【企業の実務担当者向け注意点】

「退職所得の受給に関する申告書」の保存期間が10年に延長
今回の改正に伴い、2026年1月1日以後に支給する退職金について、企業側で保管する「退職所得の受給に関する申告書」の保存期間が従来の7年から10年間に延長されました。

従業員や役員に退職金を支給する企業様は、帳簿・書類の保管期間変更にもご注意ください。

iDeCo・企業型DCを「先に」受け取ると、後の退職金で控除が減る


ポイントは、控除の調整が入る期間の長さ(=どれだけ間隔を空ければよいか)が、受け取る「順番」で違うことです。

受け取る順番 調整される期間(空けるべき間隔の目安)
iDeCo・DCが先 → 退職金が後 前年以前9年内=10年(改正で5年→10年に延長)
退職金が先 → iDeCo・DCが後 前年以前19年内=20年(従来どおり変更なし)

 

これまでは、iDeCoやDCを先に受け取る場合、5年の間隔を空けるだけで両方の控除を満額受けられました。そのため、多くの人がこの方法を活用していました。
2026年からの改正は、この間隔を10年に延ばし、短期間での“二重取り”を制限するものです。
参考:東京国税局「前の退職手当等が同一年に複数ある場合の退職所得控除額の計算の特例について」

重複期間のイメージ

勤続35年のうち、12年間がiDeCo・DCの加入期間と重なっている場合、後から受け取る退職金の控除から、重なる12年分(40万円 × 12年=480万円)に相当する額が差し引かれます。

控除が減ればその分、課税対象(=(退職金−控除額)×1/2)が増え、税額が上がります。

控除を減らさないための受け取り方の注意点

①順番と間隔(10年)を意識する

iDeCo・DCを先に受け取るなら、退職金との間隔は「10年以上」が一つの目安です。受け取り時期をずらせるかどうか、退職前に確認しておきましょう。

②「一時金」か「年金」か/役員退職金の支給時期

iDeCo・DCを年金形式で受け取ると「退職所得」ではなく「雑所得(公的年金等控除)」の扱いになり、退職所得控除の重複問題を避けられる場合があります。

ただし社会保険料など他への影響もあるため、総合的な比較が必要です。

また、役員退職金は会社側の損金算入のタイミング(株主総会での決議年度など)とも関わります。「役員個人の手取り」と「会社としての決算対策」の両輪で、最適な計画を立てていくことが重要です。

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最適な受け取り方は、勤続年数・加入期間・退職金額・他の所得などによって一人ひとり異なります。具体的な金額のシミュレーションは、退職の前に専門家へご相談いただくことをおすすめします。

Q&A(よくある質問)

Q1.60歳でiDeCoを一時金で受け取り、65歳で会社の退職金を受け取る予定です。影響はありますか?

A.はい、影響します。

iDeCoを先に受け取り、5年後に退職金を受け取るこの受け取り方は、改正前は両方フル控除が使えました。
しかし改正後は調整される期間が「10年」に延びたため、間隔が10年未満だと、後の退職金の控除が重複期間分だけ減額される可能性があります。

控除を満額使うには、iDeCoと退職金の受け取りを10年以上空けるのが目安です。
60歳でiDeCoを受け取るなら、退職金の受け取りを70歳以降にずらせれば、双方で控除を満額使えます。受け取り時期をずらせるかどうか、早めに検討されることをおすすめします。

【補足】
2026年4月から「在職老齢年金」の支給停止基準額が月額65万円に引き上げられました。
65歳以降も役員報酬や給与を得ながら働き、年金カットを避けつつ退職金の受け取りを70歳以降へずらす計画が立てやすくなっています。

Q2.すでに「5年ルール」で受け取る計画を立てていました。今からできる対応はありますか?

A. 受け取り時期や受け取り方(一時金/年金)の変更が主な選択肢になります。

たとえば退職金の受給を後ろ倒しにして間隔を広げる、iDeCo・DCの一部を年金で受け取る、といった調整が考えられます。ただし最適解は個別事情によって変わるため、早めにシミュレーションしておくと安心です。

受け取る「順番と時期」で手取りを守るには?


①ご自身・自社に最適な「受け取り方」の早めの検討

2026年1月からの「10年ルール」は、iDeCo・DCと退職金を「どの順番で・どのくらい間隔を空けて受け取るか」で手取りが変わる改正です。
特に、iDeCo・DCを先に受け取る場合は「10年」を意識することが、控除を減らさないための基本になります。退職金の受け取りは一度きりの大きな判断です。

支給の“前”に順番と時期を確認しておくことが、思わぬ税負担増を避ける最大のポイントです。

②迷ったら専門家へ/無料面談のご案内

「自分のケースは影響があるのか」「iDeCoと退職金をどの順番で受け取ればよいのか」といった具体的なご相談は、正確な数字をもとにした試算が欠かせません。

役員退職金や個人のiDeCo・DCの受け取り方、従業員の退職金の実務でお悩みの経営者様は、ぜひ初回の無料面談をご予約いただき、御社やご自身の状況をお聞かせください。
専門家が最適な受け取り方をご一緒に検討いたします。

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税理士:金子 太妥志
税理士:金子 太妥志
【監修】税理士:金子 太妥志
東京税理士会(登録番号:112259)

監査法人トーマツに入社し会計監査及び株式公開支援業務に従事。その後、野村證券株式会社において資金調達やM&Aに関する財務戦略の提案業務を手掛け、また、ベアー・スターンズ証券東京支店では不動産融資及び証券化業務に携わる。

2008年に独立し、マクシブ総合会計事務所及びマクシブ・アドバイザーズ株式会社を立ち上げ代表に就任。

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