決算3か月前に始める!中小企業のための「攻め」と「守り」の決算対策
こんにちは、マクシブ総合会計事務所です。
「今期は利益が出そうだ」 経営者として喜ばしいことですが、同時に頭をよぎるのが「税金」の二文字ではないでしょうか。
決算日を過ぎてから「何か対策はなかったか」と税理士に相談しても、打てる手は限られています。実は、効果的な決算対策ができるかどうかの分かれ道は、「決算の3か月前」にあります。
今回は、中小企業の経営者が決算3か月前に行うべき重要ポイントを、優先順位に沿って徹底解説します。
なぜ「3か月前」が重要なのか?
決算直前(1か月前)になると、現金の支出を伴う対策は資金繰りに影響がでます。また、物品の購入などは「期末までに納品・検収」が終わっている必要があるため、時間が足りません。
3か月前であれば
- ある程度正確な着地予想(利益予測)が立てられる。
- 設備投資や修繕などの「検討・発注・納品」が間に合う。
- 役員報酬の変更はできませんが、倒産防止共済などの加入・増額が間に合う。
まずは「現状把握」と「着地予想」を!
対策を練る前に、まずは現状の数字を整理しましょう。
試算表の確定
まずは直近(決算3か月前時点)までの試算表を完成させます。未入力の売上高、仕入や経費の領収書や請求書がないか確認してください。
着地予想のシミュレーション
残り3か月の売上と経費を予測し、最終的な利益を算出します。
「利益 = 直近までの実績 + 残り3か月の予測」
この数字を見て、「どれくらいの法人税等が発生するか」を概算で把握することが、すべてのスタートです。
「攻め」の決算対策:将来への投資と経費化
利益が出すぎると判断した場合、単に税金を払うのではなく、「会社の将来を強くするためにお金を使う」という発想が重要です。
① 必要な備品・消耗品の購入(30万円未満)
「少額減価償却資産の特例」を活用します。
内容
1個あたり30万円未満の資産であれば、年間合計300万円まで一括で経費にできます。
例
PC、デスク、空気清浄機、社用車のタイヤなど。
注意点
決算日までに「納品」され、使用を開始している必要があります。
② 設備修繕・メンテナンス
オフィスや工場の修繕、HPの改修など、後回しにしていたメンテナンスをこの時期に行います。これも「期末までの完了」することが条件です。
③ 広告宣伝費の先行投入
翌期の売上を作るための広告(Web広告の入金やチラシの配布)を検討します。
④ 短期前払費用の活用
1年以内に提供を受けるサービス(家賃、保険料、リース料、会費など)を1年分年払いし、その全額を当期の経費にする方法です。
ポイント
契約書に明記し継続して年払いする必要がありますが、即効性のある節税対策です。
「守り」の決算対策:内部留保とリスクヘッジ
現金を社外に出すだけでなく、将来のリスクに備えつつ節税する方法です。
① 経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)への加入・増額
中小企業にとって最強の節税策の一つです。
メリット
掛金が全額損金(経費)になります。最大年240万円(累計800万円)まで積み立て可能。
ポイント
40か月以上加入すれば、解約時に掛金が100%戻ります。
注意
令和6年10月の改正により、解約後2年間は再加入しても損金算入ができなくなりました。出し入れのタイミングには注意が必要です。
② 不良在庫・不用資産の処分
倉庫に眠っている「売れない在庫」や、使っていない機械はありませんか?
廃棄処分
廃棄業者に依頼し、証明書を受け取ることで「廃棄損」として計上できます。
評価損
一定の条件(著しい陳腐化など)を満たせば、評価額を下げることで損失を計上できます。
③ 貸倒損失の検討
回収不能な売掛金がある場合、一定の手続き(内容証明の送付や債権放棄の通知など)を行うことで、経費として処理できる場合があります。
従業員への還元(モチベーションアップ)
利益を会社と従業員で分かち合うことも、立派な決算対策です。
決算賞与の支給
メリット
社会保険料の負担は増えますが、従業員の士気が大幅に上がります。
条件
決算日までに「支給額を各個人に通知」し、決算日から1か月以内に「実際に支払う」ことで、今期の経費に計上できます。
忘れがちな「税額控除」の確認
経費を増やすだけでなく、算出した税額から直接差し引ける「税額控除」はインパクトが絶大です。
賃上げ促進税制
給与総額を前期より一定割合以上増やした場合、その増加額の一部を税額から控除できます。
中小企業投資促進税制
一定の機械装置等を取得した場合、税額控除(または特別償却)が受けられます。
まとめ:今すぐチェックリストの作成を!
決算3か月前に行うべきことは、以下の3ステップです。
- 数字を固める: 試算表を作り、着地利益を予測する。
- 投資を決める: 30万円未満の備品購入や修繕を検討する。
- 制度を活用する: 倒産防止共済や決算賞与の検討を始める。
節税は「お金を残すこと」が目的であり、「お金を使うこと」そのものが目的ではありません。無駄な買い物をしてもキャッシュが減るだけです。「その支出は来期の利益につながるか?」という視点を忘れないでください。
具体的なシミュレーションや、自社に最適な対策について知りたい方は、ぜひ当事務所までお気軽にご相談ください。
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東京税理士会(登録番号:112259)
監査法人トーマツに入社し会計監査及び株式公開支援業務に従事。その後、野村證券株式会社において資金調達やM&Aに関する財務戦略の提案業務を手掛け、また、ベアー・スターンズ証券東京支店では不動産融資及び証券化業務に携わる。
2008年に独立し、マクシブ総合会計事務所及びマクシブ・アドバイザーズ株式会社を立ち上げ代表に就任。


