こんにちは。マクシブ総合会計事務所です。
海外への転勤、留学、あるいはリタイアメント移住。住み慣れた日本を離れる際、忘れてはならないのが「税金」の扱いです。
「日本に住んでいないから、日本の税金は関係ない」と思っていませんか?実は、日本を離れた後も確定申告が必要なケースは多々あります。その際に鍵となるのが「納税管理人」という制度です。
本記事では、会計事務所の視点から、納税管理人の役割、選任すべき人、手続きの流れ、そして注意点まで徹底的に解説します。
マクシブ総合会計事務所 公認会計士・税理士 金子 太妥志
目次
納税管理人とは、日本国内に住所や居所がない納税者に代わって、確定申告書の提出や税金の納付、還付金の受領など、国税に関する一切の事務を行う人のことです。
日本の税務署は、海外に住んでいる納税者に対して直接連絡を取ったり、書類を送付したりすることが実務上困難です。そのため、国内に窓口となる「管理人」を置くことを法律(国税通則法)で義務付けています。
どのような場合に納税管理人を立てる必要があるのでしょうか。代表的な3つのケースを紹介します。
最も多いケースです。年の途中で出国する場合、その年の1月1日から出国日までの所得について確定申告(準確定申告)が必要になることがあります。また、出国後に日本の不動産を賃貸に出す場合などは、毎年の申告が必要です。
日本国内にマンションやアパートを所有し、家賃収入を得ている非居住者は、日本で不動産所得の確定申告を行う義務があります。
特定口座(源泉徴収あり)以外での取引や、一定の譲渡益が出る場合は申告が必要です。
納税管理人は、日本国内に住んでいる人であれば、個人でも法人でも構いません。 特別な資格も不要です。
手続きは非常にシンプルですが、タイミングが重要です。
「納税管理人の届出書」を、納税地を管轄する税務署へ提出します。
※所得税と固定資産税では提出先が異なる(税務署 vs 市役所)点に注意してください。
実務上、非常に重要な改正がありました。
以前は、納税管理人が選任されていない場合、税務署は書類の送達に苦慮していました。しかし改正により、税務署は「納税者に対し、納税管理人の届出をすべきことを求め」、「国内便宜者に対し、納税管理人となることを求めること」等ができるようになり、ルールの強化が図られました。
「届け出なければ見つからない」という考えは通用しなくなっているため、コンプライアンスの観点からも必ず届け出ましょう。
納税管理人の仕事は、単に書類を出すだけではありません。
本人の代わりに、1年間の所得を計算し、確定申告書を税務署へ提出します。
税務署から届く納付書を管理し、本人の資金(預かっている資金など)から期限内に納税します。
払いすぎた税金がある場合、還付金は納税管理人の口座で受け取ることが可能です。その後、本人へ送金します。
税務署から「内容の確認」や「お尋ね」が来た際、窓口として対応します。
会計事務所としてよく相談を受ける「落とし穴」をまとめました。
所得税(国税)の届出は税務署ですが、住民税(地方税)は市区町村へ別途届け出が必要です。これを忘れると、実家の親元に突然督促状が届くなどの混乱が生じます。
還付金の受け取りは納税管理人が行います。納税管理人を税理士にしている場合、税理士の「預り金口座」で受領できるため、このリスクを回避できます。
日本に帰国し、再び居住者となった場合は「納税管理人の解任」の手続きが必要です。これを忘れると、いつまでも管理人に書類が届き続けてしまいます。
「自分で親に頼めばいい」と思われがちですが、専門家に依頼するメリットは大きいです。
| 項目 | 個人(親族等)に依頼 | 税理士に依頼 |
| 税務リスク | 高い(ミスが起きやすい) | 低い(正確な申告) |
| 対応の手間 | 親族の負担が大きい | 全て丸投げ可能 |
| 税務署対応 | 本人との伝達が大変 | 直接交渉・回答 |
| 費用 | 0円〜 | 数万円〜(年間) |
納税管理人制度は、海外にいながら日本の義務を果たすための「架け橋」です。
手続きを怠ると、延滞税などのペナルティが発生したり、一時帰国時に税務署から指摘を受けたりするリスクがあります。
特に不動産収入がある方や、株の譲渡がある方は、早めに専門家へ相談することをお勧めします。
東京都中央区のマクシブ総合会計事務所では、税務に関する関する最新情報や、お客様の状況に応じた適切なアドバイスを提供いたします。ご不明な点やご不安な点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
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監査法人トーマツに入社し会計監査及び株式公開支援業務に従事。その後、野村證券株式会社において資金調達やM&Aに関する財務戦略の提案業務を手掛け、また、ベアー・スターンズ証券東京支店では不動産融資及び証券化業務に携わる。
2008年に独立し、マクシブ総合会計事務所及びマクシブ・アドバイザーズ株式会社を立ち上げ代表に就任。